
トップランナーと語る未来 第10回 慶應義塾大学大学院・白坂成功氏 俯瞰と具体化で複合的なシステムを設計、「システムズエンジニアリング」で実現する価値創出と課題解決
第10回は、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 白坂成功氏を迎え、PwCコンサルティングのパートナー渡邊敏康とシニアマネージャー南政樹が、システムズエンジニアリングの発想に基づいた価値創出と課題解決の方法について議論しました。
新型コロナウイルス感染症(COVID -19)や世界情勢などの影響によりビジネス環境が大きく変化し続ける中、迅速な経営判断の重要性が増しています。AIやIoT、ビッグデータ、5Gといったデジタルテクノロジーを活用し、競争優位性を中長期的に確立するビジネス変革が求められています。
企業がこうしたデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するにあたっては、データマネジメントを起点としたデータ活用の巧拙が結果を左右します。AIとデータの力を最大化し、戦略的に経営の中枢に活用できる企業が勝ち残っていくのです。すでに保有しているデータ、これから入手するデータは種類も量も加速度的に増えていきます。これらを、AIを通じて迅速にビジネス価値に結びつけ、経営判断を行うことが、企業にとって重要な経営アジェンダとなるでしょう。
この経営アジェンダを確実に推進していくためには、ビジネスとテクノロジー両方の理解に加え、働く人々の変革を促すための心理的側面の理解も重要であり、その3つを統合したビジョンを描き出すことが求められます。
PwCは、経営判断の中枢のさまざまな側面でAIを活用し、ビジョン策定から、テクノロジー・ディストラプションとチェンジマネージメントを実現する「AI経営」という方法論を使い、イノベーション創出を支援します。
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英語字幕版はこちらをご覧ください。AI Management(English subtitles)
企業がDXやAI導入を進めるにあたり、大きく2つの課題があります。
1つは、デジタル化やデータ活用を前提としたビジョンを十分に描き切れないまま、DXを実施したり、部分的なAI化などの施策を推進したりしていることです。その結果、アドホックな分析やPoC(概念実証)を繰り返し、ある部門では成果が出るものの、その成果が関連する他部門や全社的な動きにつながらない、といった状態に陥りがちです。
2つ目は、DXやAI導入の真の意義を企業が十分に認識できていないことです。経営のデジタル化やデータ駆動型企業への変革は、経営陣を含むメンバー全員の働き方や業務プロセスが変わることを意味しています。この点を認識できていないと、デジタル化やデータを利用した効果的なビジネスプロセスの変革までに至らず、RPAなど一部の作業の代替で満足してしまうことになります。
PwCの考えるAI経営では、経営においてAIが当たり前に存在している世界を目指します。
AI経営の世界では、各部門での業務プロセスにおけるデジタル化や、AIを含むデータ活用による予測・レコメンデーションなどが当然に行われており、経営陣が主要なKPIをダッシュボードでリアルタイムに把握しているため、迅速に決断することができます。
このような世界の実現に向けて、最初に実施すべきことは、企業のビジョンを描き出すことです。ここでいう「ビジョン」とは、企業がデジタル化やデータ活用を実現した後の、顧客体験や従業員の働き方を含めた世界観です。これにより、DXやデータドリブン経営において実施すべき施策が明確になっていきます。こうした世界観を描くためには、ビジネスとテクノロジーを理解したうえで、デザイン思考などのビジョンを具現化する手法を利用することが欠かせません。
PwCは、ビジネス変革を成功させるための独自のアプローチであるBXT(Business eXperience Technology)を全社で推進しています。このアプローチに基づき、ビジネス、ユーザーエクスペリエンス、テクノロジーのそれぞれに精通したプロフェッショナルが、各分野の専門的な視点と全体を見渡した総合的な視点を融合させたビジョンを描き、ビジネスを推進するにあたり必要な施策に落とし込むまでを一貫して支援します。
AI経営では、最初にBXTの手法を用いたワークショップを実施し、AIを当たり前に利用することを前提とした経営や部門のビジョンを描きます。そしてビジョンからの落とし込み、AIの利用を前提とした各ファンクションのマネジメント変革・プロセス変革をともなうデジタル化、データ活用の設計図までを策定します。
AI導入に向けたBXTワークショップ(BXT works AI)では、企業のデジタル化やデータドリブン経営への変革にあたって、ビジネスとテクノロジーを踏まえた企業や部門のビジョンを作成してグラフィカルに表現することが可能です。その結果、これからの方向性の共有が容易になります。また、そのビジョンのもとで実際に働く人々のジャーニーマップを作成し、働き方への具体的なイメージを描き、どのようなデータ活用を実現するか、どのような組織マネジメントを行うかなど、次の施策につなげることができます。
対象となるファンクションは、ビジネスマネジメント(財務・経理)、ピープルマネジメント(人事)、ファクトリーマネジメント(サプライチェーン)、セールスマネジメント(営業)、マーケティングマネジメント(マーケティング)など多岐にわたります。また、それらを支える全社・部門のデータ基盤構築や、セキュリティ態勢の構築などのソリューションも提供することで、「AI経営」によるイノベーション創出を支援します。
組織によるアナリティクス機能の構築および活用を実現し、ビジネスにおける価値創造を促進します。
第10回は、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 白坂成功氏を迎え、PwCコンサルティングのパートナー渡邊敏康とシニアマネージャー南政樹が、システムズエンジニアリングの発想に基づいた価値創出と課題解決の方法について議論しました。
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